私は普段占いは信じない方でした。
新聞やテレビの占いを見て「今日は◯◯に気をつけて。人間関係が悪くなりそう。」とあったとします。
そんなことを言ってたら全国の射手座のみなさんが今日は運が悪いということになるじゃないか、そんなことあるわけがない、などと思っていました。
けれどもそんな私に、どうしても占いでも何でもいいからアドバイスが欲しいという日が訪れました。
[mokuji]
結婚を控えて初めての喧嘩
それは結婚前のことでした。私は20代後半で会社勤めをしていました。もう三年の交際期間を経て、お互いにそろそろ結婚しようか、という気持ちになっていた頃のことです。
結婚の話はトントン拍子に進み、日取りや式場などもスムーズに決まりました。
しかし世の中の結婚するカップルの大半が経験するという、「結婚が決まってからの喧嘩」を私も経験することになってしまいました。
普段喧嘩という喧嘩をして来なかった私たちにとって、もうこのまま破談になるのではないだろうかという内容の喧嘩でした。
そして私は「結婚」そのものに疑問を感じてきてしまいました。とはいうものの、既に親や親戚には知らせてあるし、破談にするにしても慎重に考えなくてはなりません。
けれども世間体ばかりを気にして結婚しても自分が幸せになれるわけもなく、私は来る日も来る日も悩んでいました。
藁にもすがる思いで占いへ
そんな私を見た友人が私にある占い師を紹介してくれました。
その友人は何度か占いの世話になっていたけれど、誰でも彼でもに勧めるものではないし、私が悩みに悩んでほとほと困っているのを見かねてのことでした。
友人も以前悩んでいた時に、やはり知り合いに紹介された占い師だということでした。
その占いというのは、「その人の先祖が見える」というものでした。
私は藁にもすがる思いでしたが、一方ではやはり半信半疑だったので占いの話の内容によっては信じるか信じないか決めよう、だけど親でも友達でもない、その占い師に相談するのもまたひとつの方法だと考えました。
かくして私は初めて、占いの世界に足を踏み入れることになりました。たかが占い、されど占いです。
自分の何もかも、心の声まで読み取られそうで緊張も高まります。
しゃきしゃきとしたおばさま占い師
その占い師の方は遠方に住んでいて、もちろん会いに行けば対面で話を聞いてくれるそうですが、電話でも良いとのことでした。
私も飛行機と電車を乗り継いで占いに行くのは費用面でも抵抗があったので、電話での占いをお願いしました。
電話をかけて自分と相手の生年月日と名前を言うだけでした。
あとは細かく心配なことなどを話さなくても、ぼそぼそと「あの、結婚前で悩んでいまして…」と話し出すと、その占い師のおばさまが「ああ、あなたには持病があるね、でも大丈夫(持病は当たってます)」
「相手の人は頼りになるように見えるけど小心者だね。印鑑はあなたが預かるように気をつけて。」などとさらりと答えてくれたのです。
これには私もびっくりでした。
あの言葉をお守りにして
そんな風にして話を聞いてもらいアドバイスをもらって中身の濃厚な占いをしてもらいました。随分と長い時間が経ったような気がしましたが、30分も経っていませんでした。
私は一番気になっていたお代について訊ねてみましたが「いくらでも良い、あとで送ってくれたら。」とのことでした。
その占い師を紹介してくれた友人に聞いたところ、「私も三千円くらい郵送で送っているよ。」とのことだったので、私もそのようにしました。
さて、その後どうなったのかと言うと、無事に結婚しました。
そして時々訪れる夫婦の危機の時はあの占いの言葉を思い出します。
ああ、確かこの人は小心者だから私がおおらかな気持ちでいれば大丈夫なのだ、と。
私がもらったあの時の言葉をこれからも折に触れ思い出すだろうと思います。
もう結婚して15年が経ち、あの占い師のおばさまの電話番号は分からなくなってしまったけれど、またどうしても困った時には会いに行ってみたいと、半ばお守りのように思っています。
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